花言葉
今週のお題「雨の日の楽しみ方」
こんな雨の日の
喫茶店
美しいお花が
街の片隅の テーブルの上に
咲いていた
わたしは
目の前の人と
おはなしをしていたけれど
もしかしたら
この美しい花とも
運命の出会いをしていて
もう一つの国の言葉で
秘密のおはなしを
していたのかもしれない
というか
もしかしたら
この花が まだ種だった頃
まだ 小さな若葉だった頃
この花は この花なりに
美しい世界を夢見て
そうして
今日のこの佳き日
わたしと 運命の出会いを
もしかしたら このお花さんも
とうとう 果たしたのかも
最初は 棘のある
仙人掌サボテン で
それは 一見
今の美しい花姿とは
少し 遠いような
葉の姿
それでも
美しさを夢見て
あの ぺろん として
平べったい
おまけに
棘までつんつんした
あの葉の姿で 幾年月
それでも 夢を見て
それでも 育っていくのは
今のところ 平べったい
この棘のある 葉ばかり
Sigh...
でも それでも 夢を見て
それでも 美しさを 夢見て
そうして いつか
その葉から あろうことか
こぶみたいな 妙なものが
あろうことが それが
どんどん 大きくなって
それが どんどん
妙なものに なっていって
わたし
そんなつもりじゃなかったのに…
もし人間のおんなの人なら
そんな風に 思い
軽く ため息をつくことだって
あったでしょうに
でも この花のヒトは
植物界の 方々だから
そんなギモンや
ましてや ため息なんか
なんのその
そんな暇があるならば
葉緑素に 酸素呼吸
日々 ただ 前進あるのみ
朝日が昇り
夕日が落ちる
月は満ち欠け
星は座標を描き
お天気の日や 雨の日
虹や 雷 白い雪
そんな記憶を
ただ 淡々と
このぺろんとした
棘のある葉に 記憶して
そうして ある日
その妙な膨らみから
咲いた 美しい花
お花さんは
この お花さんのことを
育ててくれた方の手で
ある日 よく切れる
鋭利な刃物で
手折られさえして
とうとう
しんでしまったのかしら
いえいえ
あなたのことを
美しいと思う
公 おおやけ という
この小さな街の
喫茶店という原っぱの
透明なグラスの
今は 水の中
美しいことが ダイスキな
わたしみたいなヒトと
毎朝入れ替わり
たくさん出会って
世の中が 美しくなる
魔法を 今朝も
もう一つの国の
秘密のコトバで
おはなし -お花し- しましょう
まるで 仙人の掌の上で
夢を見るような この朝に
〜 孔雀仙人掌 クジャクサボテン 〜