言乃葉の笹ふね

笹舟を流すように 言の葉を流そう さらさら流れるよ天の河 ころころと ことたまの 玉手箱

〜 竜宮時 リュウグウドキ 〜


今週のお題「雨の日の楽しみ方」


〜  竜宮時  リュウグウドキ  〜


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どうやら  

梅雨入りをしたもよう


晴れた日は  

清々しいし  気持ちもいいし

洗濯物も  乾くし

それは  それで  

好きだけれど


雨が続くこの頃も  

案外しっとりと  いいもの


梅雨の始まりに

はらはらと  降る風情は

まるで  天から  透明なる

水晶の  花弁が

からころ  舞い散るよう


それは  それで  

軽やかで  明るい雨で

それも  それで  いいけれど


案外  ずしり

天と地を  真直ぐに結び

瀧のように落つる

水底のような  仄暗い光の中  

降る雨こそ  をかしけれ


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さながら  陸が  このひととき

海の底になるようで

その一瞬の化身は

春と夏の間の

今の  この時期だけのこと

少し  どきりとする


あるいは  

今  わたしたちの棲まう

理路整然とした  この場が


実は  遥か亜熱帯の

モンスーンにも  繋がり

大地  芳醇に匂い立ち

息吹き吹き上がる

地龍であることを

単なる  國家などだけではない

生ける  國體であることを


終わりなきかのような  この雨が

思い出させてくれる


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そうして  一雨ごとに  

地の龍の鱗が  一燐一燐

水を得て  命蘇り

大きく  伸びをする


やがて  地龍は  知立は 

天から地へ  豊かに落つる 

無限なる  水の滋養に  満たされ


時を得て  ある日  

無音なる  雄叫びを

虚空を切り裂き  ひと鳴きすると


美しき紫なる

一条の稲妻の光とともに

地から天へ

天竜となり  還りゆく


今は  この地上こそ  竜宮の

だから  今こそ  竜宮どき


そんな竜宮どきの  ハジマリに

大好きな  泰山木の花が  咲いた


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赤ちゃんの頭ほどある

大きくて肉厚な  この花は

なぜか  日々  陽を受ける

東側から咲かず

一番上  天から  咲いている


不思議だなぁ  ふつう

太陽の日差しを

たくさん受ける方から  

早く成長して  

花も咲くだろうに


そんな  日輪の力が支配する

地上の法則からも  自由な

気高き  天なる  この花を

なお一層  愛してやまぬ  竜宮時


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