言乃葉の笹ふね

笹舟を流すように 言の葉を流そう さらさら流れるよ天の河 ころころと ことたまの 玉手箱

袖すり合うも

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買い物をして エレベーターに乗りました

そうしたら  なんだか  ついつい

エレベーターに乗ったことだけで

ほっとしてしまったんでしょうね


それで  ただ  ほっとしていました  わたし


そうしたら  となりの方が

気付いてくださったんでしょう

ほっとし過ぎて  

行き先の階のボタンを押していない 

それでも  ほっとし続ける  わたしのことを


行き先  大丈夫ですか?

と  世にもご親切に

わざわざ  聞いてくださいました


あっ  ありがとうございます

7階を  お願い出来ますか?


その方は  また  世にもご親切にも

もうひとグループ  おしゃべりをしていて

行き先を押していないその人たちに

何階ですか?  と聞いていらっしゃって


でも  そのグループの方は

おしゃべりに夢中で

聞こえなかったようでした

その方と  わたしは  

目を見合わせて  クスリ  すこし  シアワセ


そうして  7階で降りる時

深々と直角に  お辞儀をして

ご親切に  ありがとうございました  と

申し上げずには  いられませんでした


わたしは  この方のことを  忘れない


言葉って  こういう風に使うために

わたしたちの口は  存在しているんだ

そんなことを  小さなエレベーターの中で

遠い宇宙の果てにいらっしゃる神様に

教えていただいたような

不思議な  不思議な  今日の昼下がり


〜  言乃葉の笹ふね  第五十二葉  〜


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